洗濯機の歴史

洗濯機の歴史を知るコーナーです。
ここでは洗濯機の歴史を製品などとともにたどっていきます。

昔の洗濯方法

洗濯には布をこする必要があり、これにより汚れを布から浮かせ、石鹸を布地に浸透させます。古くから川縁の岩に衣類を打ち付けたり、こすったりすることで洗濯していましたが、その後波状の溝をつけた洗濯板が使われるようになりました。 古代ローマでは、”fuller” と呼ばれる人たちが発酵した尿などの入ったバケツに洗濯物を入れ、それを足で踏んで洗濯していました。 洗濯という重労働を何とか低減させるため、洗濯する機械が開発されてきました。最初は容器に水や洗濯物を入れ、容器ごと手で回し、中身を攪拌する方式でした。欧米で電療が普及したのは1930年代で、それ以前には1気筒の低速なガソリンエンジンなどがよく使われていました。 洗濯はお湯を使った方が汚れが落ちやすいことはご存じかと思います。今でこそ洗濯は水を使って簡単にできますが、その昔はお湯を使った洗濯が行われていました。石鹸の入ったお湯が貴重だったため、そのまま何度も再利用されていました。まず汚れの少ない衣類を洗い、徐々に汚れのひどいものを洗っていくという使い方をしていました。 初期の洗濯機は木製でしたが、金属製のものができると洗濯槽を下から火で加熱できるようになりました。このため一日中洗濯しても洗濯水を暖かく保つことができました。

初期の洗濯機の歴史(第二次世界大戦以前)

1691年イングランドで初の洗濯機および脱水機に類する特許が成立しました。

1752年1月の “The Gentlemen’s Magazine” というイギリスの雑誌に初期の洗濯機の絵が掲載されています。

1767年ドイツで Jacob Christian Schäffer が洗濯機を考案し、にその設計が出版されています。

1782年には、イギリスで Henry Sidgier が回転ドラム式洗濯機の特許を取得しています

当時は洗濯後、洗濯物から石鹸水を除去する工程が全く別の工程でした。つまりはびしょぬれの衣類を手で絞っていたのです。この仕事を助けるため、2つのローラーにばねで力をかけて、そこに衣類を通してローラーを手で回すという手絞り機(または手回し脱水機)が開発されました。 これには1枚ずつ衣類を入れる必要がありました。元々は独立した機械でしたが、洗濯機に組み込まれるようになり、搾り取った石鹸水が洗濯槽に戻って再利用できるような構造になっていきました。

1797年アメリカ合衆国ニューハンプシャー州の Nathaniel Briggs が “Clothes Washing” と題した特許を取得しました。のちに特許事務所が後に火事で焼け落ちたため、彼が具体的にどういう発明をしたのか詳しいことは分かっていません。

1843年セントジョンの John E. Turnbull が洗濯機に手絞り機を組み込んだ機械として特許を取得した “Clothes Washer With Wringer Rolls” という特許が最初です。

回転による脱水が一般化したのは、電動機が開発された後になります。回転で脱水するには高速で強力な回転力が必要で、脱水機は洗濯機とは別の装置として作られました。洗濯した衣類を洗濯槽から脱水槽に移して脱水していました。 これは現在で言う二槽式洗濯機の原形で、このような初期の脱水機は、中身が偏っていると脱水槽自体が危険なほど揺れるという問題がありました。この揺れをなんとかしようと様々な試みがなされました。 最初に若干のアンバランスを吸収する緩衝フレームが考案され、さらに激しい揺れを検出して脱水機の回転を止める機構が考案されました。この場合、人間の手で中身を均等にして再度脱水する手間がありました。最近では液体を封入した環を使って、それを脱水槽と同時に回すことで全体としてバランスが取れるようにしていることが多いです。

1910年にアルバ・ジョン・フィッシャーが電気洗濯機の特許を取得しており、電気洗濯機は20世紀初めにアメリカで登場しました。電気洗濯機の発明者とされることが多いですが、フィッシャー以前にも電気洗濯機の特許が存在しています。

1928年アメリカでの電気洗濯機の年間販売台数は913,000台に達しました。

1932年には世界恐慌が発生したために販売台数が減少し、出荷台数が約600,000台と落ち込みを見せました。

1930年代に洗濯機の設計の改善が進み、安全性を考慮して電動機などの機械が筐体に覆われるようになりました。

1940年には、アメリカの電力供給を受けている2500万戸の60%が電気洗濯機を所有していました。

いわゆる全自動洗濯機は、洗濯槽と脱水槽が1つになり、水の出し入れが自動化され、洗濯から脱水まで自動的に行うようになっています。

1937年、ベンディックスが初の全自動洗濯機の特許を取得し、それを使った洗濯機を同年発売しました。この洗濯機は現代の全自動洗濯機の基本機能は全て備えていましたが、サスペンション機構がなかったので、動き回らないよう床に固定する必要がありました。

第二次世界大戦以降の洗濯機の歴史

第二次世界大戦中、アメリカ国内の洗濯機メーカーは軍需に徴用されましたが、全自動洗濯機の開発は続けられ、戦後間もなく全自動洗濯機を発売しました。

1947年ベンディックスは、改良型の Bendix Deluxe(当時249.50ドル)を発売し、ゼネラル・エレクトリック(GE)も同年、全自動洗濯機を発売しました。

1950年代初めまでに他社も次々と全自動洗濯機を発売しました。中には二槽式で、洗濯槽から脱水槽に洗濯物を手で移さなければならない半自動洗濯機もありました。

電気掃除機で知られるフーバー社は、マイコン制御が登場する以前にカートリッジ式で洗濯パターンをプログラム可能な全自動洗濯機 Keymatic を製造していました。 洗濯機のスロットにプラスチック製の鍵状のカートリッジを挿入すると、それにしたがって洗濯パターンを決定するものです。 しかし、ダイヤル式で設定する他の洗濯機に対して特に優れているわけでもなかったので、成功したとは言い難いものでした。カートリッジを失くしやすいという問題もありました。

初期の全自動洗濯機は機械式タイマーを使い、タイマーシャフトに一連のカムがあり、様々なスイッチを時間で操作していました。

1950年代、これが電子式タイマーになり、設定の自由度が格段に向上しました。

1950年代までヨーロッパでは電気洗濯機は一般化しませんでした。これは、第二次世界大戦の戦禍により、ヨーロッパの消費者市場が1950年代後半まで回復しなかったためです。当初はローラーによる手絞り機構付きの電気洗濯機が主流でした。

1960年代には2槽式が主流となり、全自動洗濯機が主流となったのは1970年代になってからのことでした。
初期の全自動洗濯機では、洗濯槽/脱水槽の回転速度は機械的手段か電動機に供給する電力を可変抵抗器で加減することで制御していました。

1970年代には上位機種から電子制御が一般化していきました。

1990年代になるとタイマーの代わりにマイクロコントローラを採用した機種が登場しました。これが今では一般化しています。ファジィ制御も洗濯機にいち早く採用されています。

最近では衣類乾燥機の機能まで1台でこなすものも普及しています。

2008年リーズ大学は約280mlの水だけで洗濯できる洗濯機を開発しました。この年の10月31日をもって三菱電機は売り上げ不振で赤字が続いたことから洗濯機の生産より完全撤退しました。

2009年カトリック教会の半公的な新聞、 L’Osservatore Romano が、洗濯機が女性を家事の苦役から解放したという意味で、女性解放における重要なマイルストーンだったと表明しています。